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2010.01.15

防災教育・一歩踏み込んで「住育」へ

防災教育を学校生活の中で取り入れるケースが教育現場に広がりつつある。
1月17日には兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から丸15年になるが、
震災の記憶を風化させてはいけないと小学校で防災訓練を行なうのと同時に
“地震に強い家とはどんな家でしょうか!”という簡単な勉強会が
行なわれています。
奈良県下のある小学校でもそんな勉強会があります。そのひとつの様子を
少しばかりご報告。

耐震授業2






地震発生の非常放送にあわせて
机の下にかくれる生徒さんたち。



地震被害のビデオを見たり、クイズ形式で地震に強い建築のことなどを
授業のひとコマに入れていただき耐震学習。今回は6年生が対象。

耐震授業1





阪神淡路大震災の映像を見る
生徒さんたち。小学校6年の
彼らはもちろん生まれていなかった。



木の家、鉄骨の家、コンクリートの家どれが一番強いと思う?との問いに
ほとんどの子ども達はコンクリートの家だと答えます。
コンクリートの家が強いというより、漠然と木は弱いというイメージがあるようです。
おもしろいのは低学年になるほどレンガの家が強いと意見を言う子が多くなる。
「三匹の子ぶた」のお話が頭の中にしっかりと残っているのでしょうね。

上北山小091125









簡単な模型を使って揺れのしくみと
補強の仕方を説明すると、子ども達は
興味津々。



確かにコンクリートは強いという考えは間違っていない。そして木は燃えるし、
水に濡れて腐るし、弱いものというイメージも間違っていない。どちらも正しい
意見だがそれだけで家の強さ、如いては家の良し悪しは決まらないですね。
子どもには難しいかもしれませんが、じっくりといろんな例えを交えて説明して
あげると決して子ども達にも判らないことではないのです。
最終的に要はバランス感覚ですね。コンクリート造でも潰れている建物や
古い木造の建物でもちゃんと残っている画像、あるいは火災の後で古い
木の梁は真っ黒に焼けていても崩れずに残っているのに補強したはずの
鉄骨の梁が熱でグニャと曲がって崩れ落ちている写真を見ると子どもだけでは
無く先生方もびっくりしています。


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起震車に乗って、順番に
地震の揺れを体験する。

100115防災4


地震時には火災も起こる。
煙はどのように迫ってくるのか。
そこからどう逃げるか。




「食育」という言葉があります。「良質の食事が人間を正しく育てる。」という
理念をもとにした造語。インスタントやファーストフードが幅を効かし「食」への
無関心が日本人の心を貧しくしていると、神戸コロッケで有名なロック・
フィールド社・岩田弘三社長がそういって嘆いているという新聞のコラムを
目にした事がある。
「住」も同じこと。昔から「衣食住」と言いますが、「衣」への関心はファッションと
いう視点でこの3つの中では一番高そうだ。どうも「住」は一番、分が悪い。

 「良質の住空間が清く正しい人間を育む」つまり住育。(住教育というより
「住育」と言ってしまいたい。)それが大切だと感じる。
私らが子どもの頃もそうだったが、住環境に関するきちんとした教育など受けた
覚えが無い。そういった専門分野の学校へ進まない限り、住まいや暮らしに
関する正統な教えを系統だって受けないとなれば、市井の人々のほとんどは
ド素人ということになります。これが日本の家作りや町並みをダメにしている
元凶ですね。
まさに、「住」への無関心が日本人の心を貧しいものにしているのです。

 小学生はピュアだ。好奇心旺盛。想像力無限大。小学生に限らず習得能力の
高い幼少時代にこそ、もっといろんな視点から様々な事を勉強したらよいと
思うのですが。(できれば親もいっしょに)
そんな教育を受けて育つ子ども達が大人になる頃、きっと家作りの質は高い
レベルに達し、良い町並みを形成していくことになると思います。

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6年生が卒業記念に自分達のデッキを        建材として使われる木材。
大工道具を駆使してつくる。              その木の種類や特性を調べてみる。

防災教育を足がかりとして、住まいや町並み、建築の歴史、建築が立ち上がっていく
上での知恵や工夫など、学校生活の中で学べるものは多いと思うのです。

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