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2014.04.09

たとえば鳥が崖の上に巣をつくるように…

ヨーン・ウッツォンは言わずと知れたシドニーのオペラハウスの設計者と
してその名を広く知られています。
シドニーオペラハウスは世界中で最も有名な建築物のひとつと言っても
過言無いと思いますが、その設計者であることはかえってその建築家の
名前をがんじがらめにしているようなところがありますよね。
物凄い大ヒット曲を出した歌手とか、大当たりの映画の主演俳優の一部が
そうであるように、それ以外にも魅力的な作品を発表してみても、いつまでも
○○のという冠がつけられるようにウッツォンもやはりオペラハウスの…となる。

この本はa+uという建築専門雑誌の臨時増刊であり地中海に浮かぶ
スペインのマヨルカ島の断崖の上に建つウッツォンの自邸を紹介した
本であります。その住宅の名前はCAN LIS(キャン・リス)。
どこか神殿の様でも有り、古城の様でも有り、古い寺院のような趣も
持ち合せている。非常に魅力的な住宅建築で、ぼくはこの本が出版される
まで、全然知らなかった訳です。ウッツォンには特に興味があったわけで
無くて、本屋で立ち読みしながらこのCAN LISに一目惚れ♡

CAN LIS

20世紀の名住宅にもいろいろとありますが、この住宅はあまり知られていなかったの
ではないでしょうか。ウッツォン自身も日本語で紹介している書物は少ないですね。
だからどうしても謎めいた雰囲気が漂います。
あらためてCAN LISを通して、ウッツォンという人がどんな人間で、どんな建築家なのか
興味をもってみました。
この本に収録されている彼のエッセイやその他の書物で紹介されている彼の言葉や
設計作法、思想みたいなものから共感を持つところが多くて親しみをもった訳です。

「建築家にとって非常に大切なのは、ものごとのあるがままの姿に恋をする
ことであり、フォルムやスタイルと闘うことでは無い」

「自然から学んだのは、自然が構造を備えていて構造を表現しているから」

「建築現場は建築家にはとてもためになる場所。あらゆる本を読むよりも
現場で1時間過ごす方がいい」

ほか滋味あふれるセリフの数々と素材にこだわる、匠の技を大切にする、といった事。
日々練習を怠らない、全身の神経を研ぎ澄ませ、日頃からかたちをつくる腕を磨け、
健全で常識的な生活感をもつこと、など叱咤激励のような言葉の数々。
当たり前の事なのだが、当たり前の事がなかなか出来ないというのは世の常。
世界中にその名を知らしめ、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞をも受賞
した一流の建築家ですが、いつも順風満帆ではなかった彼の人生。
CAN LISの大いなる試行錯誤の末に産み落とされたようだ。

CAN LISの計画についてはこんな説明を残しています。
「いたってシンプルでね、たとえば鳥が崖の上に巣を作るように本能に従っただけ
なんだよ。」彼にはいつも自然がお手本だったようです。
 ヨーン・ウッツォンは1918年デンマークのコペンハーゲンに生まれ、2008年11月
29日に90歳で他界。いつも肩ひじ張らず、背伸びもせず自然体で生きた一生だった。
今日、4月9日は彼の96回目の生誕日。

 

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