下の写真は奈良県の大和郡山市にある慈光院の書院。
ここにははっきりとした内部と外部を隔てる仕切りはありません。
もっとも強い雨風の日などは戸を引いて部屋を閉じることも
あるでしょうが、この空間の最も美しく特徴的なことは、それが
庭や遠くの風景に自然と連なり一体的に溶け合っていること
であることは言うまでも有りません。
内部の造作は簡素で、広縁の軒先は深く低く、陽に照らされた
庭と対比して軒裏は漆黒に染まり、軒と柱が額縁のように風景を
切り取っている様がなんとも言えない。
屋根に覆われた室内でありながら屋外の心地よさを生みだしている。
光と陰のコントラストのなせる業です。