ダディーズアットホーム
HOME » » 『ボートの三人男』・・・家づくりは小さな舟旅のように

2010.05.19

『ボートの三人男』・・・家づくりは小さな舟旅のように

“ボートの三人男  犬は勘定に入れません” の見出しで始まる英国の小説家
ジェローム・K・ジェロームにより19世紀末に書かれた小説。
世界中で愛され続けたこのユーモア小説は日本では1976年7月に中公文庫
から初版が発行されている。それから34年という年月が流れて、この春に
装いも新たに改版が発行された。ということで早速読みかえしてみる。

ボートの三人男
さてさて、このユーモア小説の中の一節(第三章のなかで)に家づくりを彷彿させる
一文があるのですね。 ちょっと引用してみましょう。

  ~むやみに金がかかるだけで誰も面白がることがない娯楽、型式、流行、
   体裁、見栄 ―  あぁ、なんてくだらないことなんだ!
    ・・・中略・・・
   厄介ものである。諸君、こういう類のものはみんなガラクタなのだ。
   そんな積荷は投げ捨ててしまえ。そんなものがあってはボートは重くて
   進めない。
    ・・・中略・・・
   ガラクタは投げ捨ててしまえ。ただ必要なものだけを積みこんで― 生活の舟
   を軽やかにしたまえ。簡素な家庭、素朴な楽しみ、一人か二人のこころの友、
   愛する者と愛してくれる者、一匹の猫、一匹の犬、一本か二本の愛用の
   パイプ、必要なだけの衣料と食料、それに必要より少し多めの酒があれば
   それでよいのだ。
    ・・・中略・・・
   こうすれば舟を進めるのに楽だし、簡単にはひっくり返らない。また、もし
   ひっくり返っても、そう大したことはないのである。質がよくて簡単な商品には
   耐水性があるのだから。~

どうですか? 舟(ボート)を家(住まい)に読み変えてみたらとっても意味深でしょう。
家づくりも本当は余計な積荷を降ろして、無理なく無駄なくシンプルにいくのが
一番なのです。(実際にはしがらみだらけですけどネ!そこんとこをなんとかするの
です。)
この文中に出てくる「生活の舟」という言葉は素敵な言葉ですね。僕はとっても
気に入っています。住まいはまさしく生活の舟なのです。

『ボートの三人男』中央公論新社 

ジェローム・クラプカ・ジェローム(1859-1927)
   イギリスの小説家。1859年、スタンフォードシャー生まれ。喜劇役者、新聞記者
   などを経てユーモア小説家として名を馳せる。ロンドンに居をかまえ、テムズ河で
   川遊びを愛した。その体験をもとにして著された本書『ボートの三人男』は
   大ヒットとなり、現代に至るまで世界中で読みつがれている。1927年没。
                                (注記:文庫本の著者紹介より)

 

 

 



 

←前のページへ次のページへ→

Add to Google Yahoo!ブックマークに登録 RSS
特に業務エリアは決めておりませんが、奈良県(奈良市、生駒市、大和郡山市、香芝市、橿原市ほか)、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、滋賀県、三重県など近畿を中心に ご縁に任せております。
一級建築士事務所 中尾克治建築設計室
〒630-0233 奈良県生駒市有里町117-19
telephone. 0743-76-2744 facsimile. 0743-76-5988