東京国立博物館、日比谷第一生命ビル、八ヶ岳高原ヒュッテ、銀座和光など様々な
様式を駆使しながら昭和の建築史に記念碑的な名作を遺した建築家・渡辺仁。
その設計した作品の評価や知名度とうらはらにその名はさほど知れ渡っていない
感がある。その辺が憎らしいというか今となっては粋に思える。
横浜のホテルニューグランド(本館)も渡辺仁による設計。クラシックホテルの名作だ。
かの矢沢永吉だってこのホテルを「ニューグランドホテル」というタイトルで’88に
リリースしていますね。 ♪ Please go シェードの隙間に・・・ 雨音が忍び込む
ニューグランドホテル~ 優しさに甘えない女だった~ ♪
(作詞:大津あきら・作曲:矢沢永吉)
1927年(昭和2年)に竣工したこのホテルは基本的に外国人専用という設定で
計画されたらしく、そのせいもあってオリエンタルな雰囲気を醸し出しています。
控えめな外観は今では山下公園の緑に隠れてしまうほど。内部は瀟洒で落ち着いた
雰囲気で浜の貴婦人といったところ。
写真は本館2階のロビー部分。正面の回転扉を入ると多くの場合はその正面にロビー
があるけれど、ここでは階段が設けられていて、それを上がるとロビーに至るという
設計になっています。元はここがフロントだったらしいが、今は隣の高層棟に
移っているのでラウンジとしてのロビー。西洋と東洋が交錯したこのロビーは
今でも優雅な時間が流れているように感じます。
ホテルニューグランド 公式HP