ダディーズアットホーム
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2010.03.29

モンドリアンな民家

吉村家住宅

大阪府羽曳野市にある吉村家住宅のアプローチ。
長屋門をくぐり、大戸口まで斜交いに玉石の歩み。その先に土壁と柱と貫による縦横の
何とも絶妙なバランスのファサードの壁が見えている。
企画・撮影;二川幸夫、文;伊藤ていじによる名著「日本の民家」(A.D.A.EDITA Tokyo)
の新装版の表紙カバーにも採用されている“最も有名な日本の民家のひとつ”と
言っても過言ではない。
大壁になっているその他の部分の外壁は漆喰塗だけれど、この玄関廻りの壁は
ベージュの土壁で真壁仕上げになっているのです。半間(約90㎝から100㎝の間)
奥まっているので雨に打たれにくいという事でこの部分だけ仕上げ方が違う
のでしょうか。玄関廻りと書きましたが、正確には「玄関」は奥の座敷の前に玄関の間と
いうものがあり、ここは土間に入る大戸口という場所。客人が出入りする場所では無く、
住人が出入りする通用口のような場所。

縦横に組まれた柱や貫はもちろん構造材なのですが、材の太さ、間隔、位置など
建物を支えるだけでなくデザイン的な視点をもって木組みの美しさを表現している
ように思います。オランダの芸術家であり、建築にも大きな影響を与えたピート・
モンドリアンの抽象画を思わせる矩形デザインは実用美をベースに置きながらも
さらなる創意工夫で手仕事の素晴らしさを表現しようとした当時の大工の心意気を
感じさせるのです。

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