大阪駅の南側、道路を挟んだザ・ヒルトンプラザの前から北側を見てみると
ごらんのように時代こそ違えど、それぞれの時代を代表する建物が並んで見えます。
手前は大阪中央郵便局(今はもう使われていない)! 吉田鉄郎の設計による
モダニズム建築の名作。奥は原広司氏設計による梅田スカイビル。二棟のガラス
貼りのビルのてっぺんを空中庭園で繋いでいる。ガラスウォールに空が写り込み
空中庭園がほんとうに空の上に浮かんでいるように見えることを意図したデザインだ。
(なかなかそうは見えないのだが・・・)このふたつの建築のあいだには54年の永い
時間が存在しています。その半世紀の間に建築のデザインは大きく変わった。
独創的な発想と比類なき現代技術が作り上げた奥の高層オフィスビルからすると
手前の郵便局は柱と梁が力強く表現されたオーソドックスなデザインで現代の
感覚からすれば無骨ともとれるかも知れません。同じ吉田鉄郎設計の東京中央
郵便局も機能美を追求したモダニズム建築の傑作でしたが、ファサードだけ保存し
解体されてしまいました。「大阪」はこのまま残るのでしょうか。
吉田鉄郎は亡くなる前に「日本中に平凡な建築をたくさん作ってきた。」といった
そうなんです。新しさや奇抜さが無くてもいつの時代でもフツウに受け入れられてきた
この郵便局はやっぱり名作ですね。
いつまでもこのように建築の歴史が象徴されるような風景が残ってほしいものです。