多くのホテル、旅館を手掛けてきた建築家・村野藤吾のホテル建築の
傑作のひとつ、箱根プリンスホテル(現 ザ・プリンス箱根芦ノ湖)
村野藤吾の作品集には家均す登場するといっていい、このロビー空間。
エントランスロビーから、もうひとつ奥に入った位置にあるロビーラウンジですが、
その雰囲気はロビーというよりチャペルのような厳かな空間。
微光を放つアコヤ貝(村野建築のお約束ディテールのひとつ)を貼った天井頂部へ
向かうべニア貼の曲面に高窓から差し込む自然光があやしく反射して、より上昇感を
高めています。
規則正しく並ぶ列柱はインド砂岩の乱石貼(これも村野建築では多く使われる)
両サイドに並ぶロビーチェアは村野デザインのスワンチェア。赤じゅうたんと共に
空間に華やかさを与えています。柱の足元に備え付けられたオブジェはアクリル製の
ショーケースに納められ、瀟洒で可愛らしく、壮大な空間の 質感と対比するように
愛らしさを醸し出しています。
ずっと前から一度は体感したかった空間、今年はじめて訪れる機会に恵まれた。