現在の東京も世界に通じる大都市ではあるけれども、十八世紀初頭にすでに
江戸の町は世界一の都市だった。1721年(享保6年)に行われたという全国的な
人口調査によると、当時の江戸町人は約50万人。それ以外に武家人や僧侶など
がほぼ同数いたとされていることから推定人口100万人の大都市だ。
当時のヨーロッパ第一の都市がロンドンで約70万人。パリが約50万人と
言われていますから、江戸の人口は英仏の首都を凌駕していた。
「大江戸八百八町」と称される江戸の町を発展させたのは実は火事であり、
火災の度に町並みは整備され拡張されていった。ケンカと共に江戸の華と
言われた火事の対策として、市中全域には約16万6千個もの水ため桶が
置かれていたといいます。また、天下泰平が続くと、町人階級が台頭し、
庶民の教育として習字や算術、漢学の素読を教えた寺子屋が普及する。
こうして都市インフラや学問が高度化するとともに、一地方都市にすぎなかった
江戸の町は第1級の社会基盤に支えられた都に発展し、江戸文化が醸成して
いったのです。
そんな江戸の町はサスティナブル(持続可能)なエコシティでもあったようです。
そして、江戸の人々は先進的かつ独創的なさまざななエコな生活の知恵を
もっていたのです。
『江戸に学ぶエコ生活術』というこの本は、金沢工業大学の准教授で同大学の研究
施設、未来デザイン研究所の所長であるアズビー・ブラウン氏の著書で日々の生活
から、農業、林業、都市計画、建築、輸送手段などあらゆることに対して、江戸時代の
さまざまな知恵と技術が現代生活にも応用できることを説いている。
江戸時代の事例を用いて、現代に生きるわれわれがいかに不要なものに囲われて
生きているかを示し、この先の未来をいかに自然と共生して生きていくかという極意を
示している実に示唆に富んだ書物です。
森や田畑と繋がりながら自給自足で生きる農民の暮らし、
さまざまな知恵と工夫でサスティナブルに暮らす町民、
実用的で無駄を省いた美を重んじる武士の哲学etc
江戸に暮らした人々の生活には現代人が置いてきたしまった大切な事柄がたくさん
あるようです。この本を読んで江戸の先進的生活術を学び、私たちの生活に
活かそうじゃありませんか!