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2011.08.03

一期一会の仕上げ~左官塗りの表情

珪藻土櫛引仕上げ外壁と灯りの表情

メタルラス+モルタル下地に仕上げ塗りとして珪藻土を使い横向きに櫛引仕上げ
した外壁。土や藁を混ぜ捏ねて一から作った土壁では無く、建材メーカーが商品と
して作っている塗り壁仕上げですが、それでも窯業系サイディングなんかでは決して
表せない手づくり感というか味わいのある表情が作れます。

最終的に仕上げるのは左官職人の腕と感性だから、ひとつひとつ全て違う表情に
なります。ひとつの建築で複数の職人さんが作業していると、それぞれ仕上がり
具合に差があるのは当然だし、ひとりの職人さんが作業していても、仕上がリ具合に
微妙な差異はあります。作業の初めはぎこちなさがあっても修了する頃には慣れて
きてスムーズなコテさばきがあったり、その逆で最初は丁寧だけれど終盤はちょっと
雑になったり。人間のやることだからその時の気分や体調、もちろん気温や天候など
の加減もあるでしょう。写真の住宅の外壁はふたりの左官職人さんが定規を使って
丁寧に櫛引をしてくれています。仕上げリが単調なイメージにならないようにわざと
ムラを出してほしいとリクエストしていたので、かなり意識してくれたのか偶然なのか
判りませんが、櫛引の陰影がくっきりはっきり出ている所と彫りの浅い所が全体的に
バランスよく表情として現れて、僕自身は気に入っています。月日が経てば経つ程、
汚れ方や風化のし具合も差が出てきてもっと味わいがでると思います。表面が粗い
黄土色というかサンドベージュ色なので、いろいろな虫や小動物も巣を作ったり
しやすいのでしょう。10年も経つといろんな異物がひっついていたりするのです。
“ひなびた”雰囲気、“牧歌”な感じがにじみ出てきたら完璧なんですが・・・

同じ左官職人さんとその後も仕事をする機会があり、「あの時のあのイメージで
仕上げてよ。」とリクエストしてもなかなか同じにはならないのですよね。
まさに一期一会の出会いというか仕上がリみたいなものなんです。

 

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