“生駒の聖天さん”の名で知られる宝山寺の客殿・獅子閣は明治初期の擬洋風建築。
宮大工棟梁・吉村松太郎の苦心の演出がそこかしこに散りばめられた傑作で重要
文化財にも指定されています。普段は見学不可の建築であるが、平城遷都1300年祭
協賛の特別拝観でこの秋は見学できるのです。(2010/11/15まで)
がけ地に建っていて「懸崖造り」という構造になっています。京都の清水寺みたいな
感じですね。ベランダや色ガラスが嵌め込められたアーチ付の窓、柱頭飾りなど西洋
建築の要素が多数見られますが、その最たるところは木造の螺旋(らせん)階段。
玄関から入った右隅にたった一畳大の吹抜けになったスペースに設置されています。
この階段、構造柱を芯柱にしながら設置されており、その柱以外は総松造り。
彫塑的で美しいフォルムです。螺旋階段というやつはどうしても急勾配になりがち
なんで(小さなスペースで登りきらないとならないから)、決して昇降しやすい階段
形状とは言い難いですが、この階段は上り下りしてみるとそう違和感はなかったの
です。高い精度で造られていて安定していますが、それでも2階に居ると、ミシミシっと
下から別の見学者が上がってくる気配が伺える階段なのでした!