フォッサマグナといえば日本列島にある主要な地溝帯で新潟県の糸魚川市と静岡市
を結ぶラインがその地溝帯の西端ということをむか~し社会科の時間に習った。
そんなフォッサマグナラインの両端にふたりの巨匠建築家がそれぞれの晩年に残した
名美術館建築があるのをご存知でしょうか?
その巨匠建築家というのは村野藤吾と白井晟一。それぞれとっても灰汁の強いと
いうか個性的というか、それはそれはすご~い大御所建築家なのです。
さて、このふたりのひととなりは追々と話すとして、それぞれの巨匠が残した美術館と
いうのが凄かったのです。
村野藤吾が日本海に面する小さな町に亡くなる一年前に完成させたのが「谷村美術
館」。このとき村野じつに92歳。雪がちらつき、北風葺きすさむ北国の現場へ足繁く
通い詰め作り上げた渾身の一作です。
谷村美術館は木彫彫刻家・澤田政廣(さわだせいこう)の作品群を展示する私設美術
館で地元の実業家・谷村繁男が施主。
一方、温暖な静岡で弥生時代の登呂遺跡の遺構を保存する公園の一角に遺跡と呼応
するように個性的な美術館が建っています。白井晟一が設計したこの美術館は
「静岡市立芹沢銈介美術館」。静岡出身の人間国宝、染色家・芹沢銈介を顕彰する
美術館で、こちらも白井が亡くなる2年前に落成している。白井76歳のときです。
ともに次世代に大きな影響を与えたカリスマ、独特の世界を持ち合わせた天才、そして
それぞれに人生の終焉を間近に控えた最晩年に送り出した傑作美術館。
実はこのふたつには似たところがいっぱいありそうなんです。
そんなふたつの傑作美術館を訪ねる旅に出発したいと思います。
では次回、先ずは村野藤吾の谷村美術館から訪問す事にしましょう!